中1のときは真ん中あたりだったのに、中2で下位3分の1に入り、中3では下から数えたほうが早い——。こうした「じりじり型」の成績低下は、一気に大きく下がるケースよりもかえって対応が遅れがちです。
なぜなら、1回1回の下がり幅は小さいため、「まだ大丈夫」「次のテストで取り返せる」と思ってしまうからです。しかし気づいたときには、取り返すために必要な努力量が膨大になっており、手の打ちようがない状態に陥ってしまいます。
この「じりじり下がる」生徒の学習を観察すると、驚くほど共通した勉強パターンが見えてきます。本人は「勉強している」つもりなのに成績が下がるのは、この勉強パターンに原因があるのです。
この記事では、順位が下がり続ける生徒に共通する3つのパターンと、それぞれの改善方法を具体的にお伝えします。
中高一貫校で順位が下がり続ける生徒に最も多いのが、テスト前に教科書やノートを読み返すだけで「勉強した」と思っているパターンです。
教科書を読む。ノートを眺める。マーカーで線を引く。これらの行為は「インプット」であり、脳には情報が入ってきます。しかし、テストで問われるのは「アウトプット」——自分の力で情報を引き出し、正しく使えるかどうかです。
インプットとアウトプットのあいだには大きな溝があります。読んで「わかった」と感じていても、いざ白紙の答案用紙に向かうと手が動かない。この現象が起きるのは、アウトプットの練習をしていないからです。
教科書を読む時間が長ければ長いほど「勉強した感」は強くなりますが、実力はほとんどついていません。これが「勉強しているのに成績が下がる」という矛盾の正体です。
目安として、勉強時間全体の7割をアウトプット(問題演習)に、3割をインプット(教科書や解説の確認)に使うことを意識してください。
具体的なやり方はこうです。
まず教科書の該当範囲を5分だけ読む。次に、問題集の該当範囲を自力で解く。解けなかった問題だけ教科書に戻って確認する。そしてもう一度、解けなかった問題を解き直す。
この「読む→解く→確認→再挑戦」のサイクルを繰り返すほうが、教科書を30分読み込むよりもはるかに定着します。
人間は無意識のうちに「できること」「気持ちいいこと」に時間を使います。得意な教科の勉強は、問題がスラスラ解けて達成感がある。一方、苦手な教科は問題を見るだけで気が重くなり、手がつかない。
その結果、得意な教科はさらに得意になり(あるいは現状維持し)、苦手な教科はどんどん遅れていくという二極化が起きます。
中高一貫校の定期テストでは全教科が出題されるため、苦手教科の失点を得意教科でカバーしきれなくなり、総合順位がじわじわと下がっていくのです。
勉強を始めるとき、苦手な教科から取りかかるルールを作ってください。
人間の集中力は勉強開始直後が最も高いです。一番集中力がある時間帯に苦手教科に取り組み、集中力が落ちてきたら得意教科に切り替える。この順番にするだけで、苦手教科に費やす時間と質が大きく変わります。
さらに効果的なのは、1週間単位で各教科に割く時間を事前に決めてしまうことです。
たとえば月曜は数学30分・英語30分、火曜は理科30分・社会30分、というように曜日ごとの教科を固定すると、特定の教科だけに偏ることを防げます。
これは最も見落とされやすく、最もダメージの大きいパターンです。
問題を解いて丸つけをする。間違えた問題には赤で答えを書き写す。そして次の問題に進む——。多くの生徒がこの流れで勉強していますが、「赤で答えを書き写す」行為には学習効果がほぼゼロです。
間違えた問題は「自分が理解できていない部分」を可視化してくれる、最も価値のある情報源です。にもかかわらず、その情報をスルーして先に進んでしまえば、同じ間違いをテスト本番で繰り返すことになります。
順位が下がり続ける生徒の問題集を見ると、ほぼ例外なく、間違えた問題が赤ペンで答えを書き込まれただけで放置されています。
改善策は非常にシンプルです。間違えた問題を専用のノートに書き写し(または問題番号をメモし)、最低3回は解き直す。これだけです。
具体的な手順は以下のとおりです。
1回目の解き直し: 間違えた当日または翌日に、解説を読んでから何も見ずに解く。解ければOK、解けなければもう一度解説を確認して再挑戦。
2回目の解き直し: 1週間後にもう一度同じ問題を解く。1週間空けることで、「本当に理解しているか」が確認できる。
3回目の解き直し: テスト1週間前に、間違いノートに溜まった問題を一気に解き直す。ここで解ければ、テスト本番でも解ける可能性が高い。
この「3回ルール」を実践するだけで、同じ問題で繰り返し失点するパターンは激減します。
ここまで紹介した3つのパターンには、共通する1つの根本原因があります。
それは、「勉強の目的が"テストで点を取ること"ではなく、"勉強したという事実を作ること"になっている」という点です。
教科書を読むのは「勉強した感」を得るため。得意教科ばかりやるのは「達成感」を得るため。間違いを赤ペンで写すのは「丸つけした感」を得るため。
いずれも「テストで1点でも多く取る」という目的から逸れた行動です。
お子さまに伝えるべきは、「勉強の質は"何時間やったか"ではなく、"テストで解けなかった問題が解けるようになったかどうか"で測る」ということです。
この意識が変わるだけで、勉強のやり方は自然と改善されていきます。
お子さまの勉強を横から見て、以下のサインが3つ以上当てはまる場合は、この記事で紹介したパターンに陥っている可能性が高いです。
テスト前に教科書やノートを長時間「眺めている」
問題集よりもマーカーやまとめノート作りに時間を使っている
得意な教科の勉強は自分からやるが、苦手な教科は後回しにする
丸つけのあと、間違えた問題をすぐに次に進めている
「勉強した」と言うが、具体的に何をやったか聞くと曖昧に答える
テスト後に間違えた問題の見直しをしていない
当てはまる項目があった場合は、この記事で紹介した改善方法を1つずつ試してみてください。一度にすべてを変える必要はありません。まずは「間違えた問題を解き直す」という1つの習慣から始めるだけでも、確実に変化が現れます。
順位がじりじり下がっている状態は、「このまま何もしなければさらに下がる」ことが確定している状態です。しかし裏を返せば、勉強のやり方を修正すれば下降を止め、反転させることもできるということです。
武蔵野予備校FLEXでは、東大生講師がお子さまの普段の勉強のやり方をヒアリングし、「何を変えれば成績が上がるか」を具体的にアドバイスします。多くの場合、必要なのは勉強「量」を増やすことではなく、勉強の「やり方」を修正することです。
「うちの子、勉強してるはずなのに順位が下がり続けている」——そう感じたら、まずは今の勉強のやり方を見直すところから始めてみてください。
武蔵野予備校FLEXでは、現役東大生講師による無料の学習相談を実施しています。お子さまの成績状況や学校のカリキュラムをお聞きしたうえで、最適な学習プランをご提案します。