中高一貫校の英語で、この症状を訴える生徒は非常に多いです。
文法の穴埋め問題や並べ替え問題は正解できる。単語テストもそれなりに取れる。なのに、長文読解になった途端に正答率が激減する。
この現象は、「文法の知識」と「文章を読む力」が別のスキルであることを示しています。文法を知っていることと、文法を使って文章を読めることの間には、想像以上に大きなギャップがあるのです。
この記事では、文法はわかるのに長文が読めない生徒に「足りないもの」を3つ特定し、それぞれの鍛え方をお伝えします。
文法問題が解ける生徒は、英文の構造を分析する力を持っています。しかし、長文を読むときにも同じように1文ずつ立ち止まって構造を分析していると、時間が足りなくなり、文章全体の意味がつかめません。
多くの生徒は、英文を読むときに無意識に「返り読み」をしています。英文を最後まで読んでから前に戻り、日本語の語順に並べ替えて理解しようとするのです。
短い文であれば返り読みでも対応できますが、長文になると1文が長くなり、文章全体の量も増えるため、返り読みでは処理が追いつかなくなります。
英文を意味のかたまりごとにスラッシュ(/)で区切り、左から右に順番に理解していく読み方を練習してください。
例文: The students / who passed the exam / celebrated / with their friends / at a restaurant / near the station.
この文を返り読みすると「駅の近くのレストランで友達と試験に受かった生徒たちがお祝いした」と後ろから訳すことになりますが、スラッシュリーディングでは前から順に理解します。
「その生徒たちは / 試験に受かった / お祝いした / 友達と / レストランで / 駅の近くの」
日本語としては不自然ですが、英文の意味は前から順に取れています。この「前から順に意味を取る」感覚を身につけることが、長文読解のスピードを劇的に上げます。
練習方法は、教科書の本文を使って毎日1段落分のスラッシュリーディングを行うだけで十分です。最初はスラッシュを書き込みながら、慣れてきたら頭の中でスラッシュを入れながら読めるようになります。
文法がわかる生徒は、1文単位の意味は理解できます。しかし、長文読解で求められるのは「この段落で筆者は何を言いたいのか」「文章全体の論理構成はどうなっているか」というパラグラフ(段落)単位の理解です。
1文1文は理解できているのに、文章全体の主旨を問う問題で間違える——これは、木を見て森を見ていない状態です。
長文を読んだあとに、各段落の内容を1文(日本語でOK)で要約してください。
例: 第1段落:「地球温暖化の現状を数値で示している」 第2段落:「温暖化の原因としてCO₂排出を挙げている」 第3段落:「対策としての再生可能エネルギーの可能性を論じている」 第4段落:「個人レベルでできる取り組みを提案している」
この要約を並べると、文章全体の論理構成が見えてきます。「問題提起→原因分析→解決策→提言」という流れがわかれば、「筆者の主張は何か」を問う問題にも的確に答えられます。
最初は教科書の本文で練習し、慣れてきたら英検の長文問題や模試の長文で練習してください。
文法がわかる生徒ほど、「正確に読まなければ」という意識が強く、知らない単語に出会った瞬間に手が止まります。
「この単語の意味がわからないから、この文の意味がわからない。この文がわからないから、次の文も読めない」——こうして、1つの未知語で読解全体がストップしてしまうのです。
しかし実際の長文読解では、すべての単語の意味を知っている必要はありません。文脈から推測できる単語は多いですし、意味がわからなくても文章全体の理解に影響しない単語もあります。
知らない単語に出会ったとき、辞書を引かずに以下の3ステップで意味を推測する練習をしてください。
ステップ1:前後の文脈から推測する
「The weather was so harsh that many crops failed.」
「harsh」がわからなくても、「作物が枯れた(failed)」という結果から、天候が「厳しかった」「悪かった」という意味であることが推測できます。
ステップ2:語源や接頭辞・接尾辞から推測する
「unbelievable」がわからなくても、「un-(否定)+ believe(信じる)+ -able(できる)」と分解すれば、「信じられない」という意味が推測できます。
ステップ3:それでもわからなければ飛ばして読み進める
推測してもわからない単語は、飛ばして次の文に進んでください。1つの単語がわからなくても、前後の文からパラグラフ全体の趣旨は把握できることが多いです。
テスト中に辞書は使えません。「知らない単語があっても、止まらずに読み進める」力は、テスト本番で直接点数につながるスキルです。
教科書の本文を、意味を確認しながら最初から最後まで通して読む習慣をつけてください。1回の通し読みに5分もかかりません。
この「通し読み」の目的は、1文ずつの精読ではなく、文章全体の流れを把握する感覚を養うことです。
音読は長文読解の基礎トレーニングとして最も効果的です。
ポイントは、慣れてきたら読むスピードを上げることです。ゆっくり丁寧に読む段階を過ぎたら、「内容を理解しながら、できるだけ速く読む」練習に移行してください。
音読のスピードが上がると、黙読のスピードも連動して上がります。長文問題を時間内に解き切るためには、読むスピード自体を上げることが不可欠です。
教科書以外の英文に触れる機会を、週に1回は作ってください。英検の長文問題、模試の過去問、英語ニュースサイトの記事など、何でも構いません。
初見の文章を読むことで、「知らない単語があっても読み進める」「文脈から意味を推測する」「パラグラフごとに要点をつかむ」という実践力が鍛えられます。
文法がわかるのに長文が読めない生徒に足りないのは、「左から右に読む力」「パラグラフ単位で要点をつかむ力」「知らない単語を飛ばして読み進める力」の3つです。
これらは文法知識とは異なるスキルであり、意識的なトレーニングなしには身につきません。逆に言えば、トレーニングすれば確実に伸びるスキルでもあります。
武蔵野予備校FLEXでは、東大生講師が文法指導だけでなく長文読解のトレーニングも行います。スラッシュリーディングの指導、パラグラフ要約の添削、推測読みの実践——文法力を「読解力」に変換する指導で、テストの長文問題での得点力を引き上げます。
「文法はわかるのに長文でつまずく」——その壁を越えるための具体的な方法は、ここにあります。
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