数学のテストで「途中式を書いたのに減点される」中高一貫校生へ——正しい記述の作法

「途中式ちゃんと書いたのに、なんで減点されるの?」

中高一貫校の数学の定期テストが返ってきて、お子さまがこう不満をもらしたことはないでしょうか。

答えは合っている。途中式も書いた。なのに、満点ではなく減点されている。保護者から見ても納得がいかないかもしれません。

しかし、この減点には明確な理由があります。中高一貫校の数学のテストでは、「答えが合っているか」だけでなく、「途中式が論理的に正しいか」「記述が数学的な作法に沿っているか」も採点の対象になるのです。

この記事では、途中式を書いても減点される典型的なパターンを整理し、中高一貫校の数学テストで求められる「正しい記述の作法」をお伝えします。


なぜ「途中式を書いたのに減点される」のか

中高一貫校の数学テストは「論理の記述」を求めている

公立中学の数学テストでは、計算過程を書くことは求められるものの、書き方の厳密さはそれほど問われません。

中高一貫校の数学テスト、特に体系数学を使っている学校では、「数学的に正しい記述」ができているかどうかが採点基準に含まれています。

これは、大学入試の二次試験を見据えた訓練でもあります。大学入試では「答えが合っていても、論理に飛躍や誤りがあれば減点」が当たり前です。中高一貫校のテストでそのトレーニングが始まっているのです。


途中式で減点される5つの典型パターン

パターン1:等号(=)の使い方が間違っている

悪い例:

3x + 6 = 15
= 3x = 9
= x = 3

この書き方は、「15 = 3x = 9 = x = 3」と読めてしまい、数学的に正しくありません。

正しい例:

3x + 6 = 15
3x = 15 − 6
3x = 9
x = 3

等号は「左辺と右辺が等しい」ことを表す記号です。各行の式が独立した等式として成立するように書いてください。

パターン2:「何をしたか」の説明がない

悪い例:

3x + 6 = 15
3x = 9
x = 3

この書き方でも正しいのですが、中高一貫校のテストでは「どの操作をしたか」の記述が求められることがあります。

丁寧な例:

3x + 6 = 15
両辺から6を引いて
3x = 9
両辺を3で割って
x = 3

すべての問題でここまで書く必要はありませんが、テストの配点が高い問題や証明問題では、操作の説明を入れることで減点を防げます。

パターン3:証明問題で「仮定」と「結論」を明示していない

証明問題で最も多い減点パターンです。

悪い例:

△ABCと△DEFについて
AB = DE, BC = EF, AC = DF
だから△ABC ≡ △DEF

正しい例:

△ABCと△DEFにおいて
仮定より AB = DE …①
仮定より BC = EF …②
仮定より AC = DF …③
①②③より、3組の辺がそれぞれ等しいので
△ABC ≡ △DEF(三辺相等)

証明問題では、何を根拠に(仮定より、定理より、①②より)、何がわかるのか(~が等しい、~が成り立つ)を1ステップずつ明記する必要があります。合同条件や相似条件の名称を括弧内に書くことも重要です。

パターン4:場合分けが不完全

方程式の問題や絶対値を含む問題で、場合分けが必要なのに一部のケースしか書いていない場合、たとえ答えが合っていても減点されます。

悪い例:

|x − 3| = 5
x − 3 = 5
x = 8

正しい例:

|x − 3| = 5
x − 3 = 5 または x − 3 = −5
x = 8 または x = −2

絶対値の問題では正と負の両方のケースを検討し、二次方程式では判別式による場合分けなど、必要な場合分けをすべて記述することが求められます。

パターン5:単位や条件の記載漏れ

図形の問題で面積や長さを求めるとき、単位(cm、cm²など)を書き忘れると減点されることがあります。

また、方程式の文章題で「x > 0」などの条件を確認せずに答えを出すと、不適切な解を含んだままになることがあります。

正しい記述の例:

x = 8, x = −2
ここで、xは長さを表すのでx > 0
よって x = 8 (cm)

「正しい記述」を身につけるための3つのトレーニング

トレーニング1:模範解答を「写す」ことから始める

正しい記述の書き方がわからない場合は、教科書や問題集の模範解答をそのままノートに写す練習をしてください。

写すだけでも、「こういう順番で書くのか」「ここでこの言葉を使うのか」という感覚が身につきます。特に証明問題は、模範解答の構成を5〜10問分写すだけで、書き方のテンプレートが頭に定着します。

トレーニング2:自分の答案を「先生の目線」で見直す

問題を解いた後に、自分の答案を「初めて読む人」の目線で見直してください。

「この行からこの行への変化は、何をしたかわかるか?」 「根拠が書かれているか?」 「場合分けは足りているか?」

この見直しを毎回の問題演習で行うと、記述の精度が着実に上がります。

トレーニング3:先生に「どこが減点されたか」を質問する

テストが返却されたら、減点された箇所について先生に質問してください。

「この問題、答えは合っていたのですが、なぜ減点されたのですか?」

この質問は、決して失礼なことではありません。むしろ、先生の採点基準を直接聞くことができる貴重な機会です。先生の回答から、「この学校ではどのレベルの記述が求められているか」がわかります。


保護者へ:「答えが合っていれば十分」ではない理由

保護者の方から見ると、「答えが合っているのに減点されるのはおかしい」と感じるかもしれません。

しかし、中高一貫校が記述の作法を重視するのには明確な理由があります。大学入試、特に国公立大学の二次試験や難関私大の数学では、途中式の論理性そのものが採点対象です。答えだけ書いて部分点をもらえることはほとんどありません。

中高一貫校の定期テストで「正しい記述の作法」を身につけることは、大学入試への直接的な準備になっているのです。

「うちの子は記述で減点されている」という事実は、ネガティブに捉える必要はありません。今の段階で記述の弱点がわかっているということは、大学入試までに修正する時間が十分にあるということです。


まとめ:数学の記述力は「技術」であり、練習で身につく

途中式を書いたのに減点されるのは、お子さまの数学力が低いからではありません。「記述の作法」という技術的なスキルが不足しているだけです。

等号の使い方、操作の明記、証明の構成、場合分け、条件の確認——これらは知識ではなく技術です。模範解答を写す、自分の答案を見直す、先生に質問する。この3つの練習を重ねれば、確実に身につきます。

武蔵野予備校FLEXの東大生講師は、大学入試で求められる記述力の水準を熟知しています。お子さまの答案を確認し、「ここはこう書けば減点されない」という具体的な指導を行います。

「答えは合っているのに点が取れない」——この歯がゆさを解消するのは、記述の作法を学ぶだけです。


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