中高一貫校の英語についていけないときに最初にやるべきこと——中1レベルに戻る勇気

中高一貫校で英語についていけなくなったお子さまを持つ保護者の方に、最初にお伝えしたいことがあります。

英語は「戻れば必ず回復する」教科です。

数学と並んで英語は典型的な積み上げ型の教科です。前の単元が理解できていなければ、その先の内容は理解できません。逆に言えば、つまずいている場所に戻って基礎を固め直せば、その先の理解が連鎖的に進みます。

しかし、多くの生徒と保護者が「戻ること」に抵抗を感じています。中2なのに中1の内容に戻る。中3なのにbe動詞からやり直す。「そこまで遅れているのか」というショックと、「そんなことをしている暇はない」という焦り。

この記事では、「戻ること」がなぜ最も効率的な立て直し戦略なのかを説明し、具体的に何をどの順番でやればいいかをお伝えします。


なぜ「戻る」ことに抵抗を感じるのか

「今の授業についていかなきゃ」という焦り

保護者もお子さまも、「学校の授業はどんどん先に進んでいるのに、前の内容に戻っている場合じゃない」と感じます。

しかし、基礎が抜けたまま今の授業を必死に追いかけても、理解は表面的なものにとどまります。テスト前に丸暗記してなんとか点を取っても、テストが終わればすべて忘れる。次のテスト範囲にはさらに理解できない内容が増える。この悪循環を繰り返す限り、成績は回復しません。

「中1の内容からやるなんて恥ずかしい」というプライド

お子さまが中2や中3の場合、「中1の内容に戻る」ことに強い抵抗を示すことがあります。特に周囲の友人が普通に授業についていける中で、自分だけ基礎からやり直すのは、思春期のプライドが許さないと感じるのです。

しかし、この「戻る」作業は誰に見せるものでもありません。塾の個別指導や自宅学習で、ひっそりと基礎を固め直せばいいのです。結果として数ヶ月後にテストの点数が上がれば、周囲から見えるのは「最近急に英語ができるようになった」という事実だけです。


「戻る」ことが最も効率的である3つの理由

理由1:英語は「基礎の欠落」が全体に波及する教科

英語の知識は、下の階層が上の階層を支える構造になっています。

be動詞と一般動詞の区別 → 疑問文・否定文の作り方 → 時制(現在・過去・未来)→ 助動詞 → 不定詞・動名詞 → 受動態 → 現在完了 → 関係代名詞

この階層のどこかに穴があると、それより上のすべてが不安定になります。たとえば、be動詞と一般動詞の区別があいまいなまま疑問文を作ろうとすると、「Do you is...?」のような根本的な間違いが起き、それ以降のどの文法も正しく使えなくなります。

穴を埋めれば、その上のすべてが安定します。つまり、1つの基礎を固めることで、複数の単元が同時に理解できるようになるのです。

理由2:基礎レベルの復習は短期間で終わる

「中1に戻る」と聞くと大量の復習が必要に思えますが、実際に必要な時間は想像よりはるかに少ないです。

中1英語の核心は、be動詞、一般動詞、疑問詞、代名詞、現在進行形、過去形——この6テーマに集約されます。各テーマの基本ルールを確認し、練習問題を5〜10問解くだけなら、1テーマ30分程度で終わります。

つまり、中1英語の総復習は3時間程度で完了します。3時間の投資で、その後の英語学習のすべてが変わるのです。

理由3:「わかる」体験が連鎖的なモチベーションを生む

基礎に戻って学び直すと、「あ、こういうことだったのか」という理解の瞬間が次々と訪れます。

今まで「意味不明」だった英文が、基礎を理解した途端に「読める」ようになる。この体験は、英語嫌いの生徒にとって非常に大きなモチベーションになります。

「やればわかる」という実感が一度生まれれば、「もう少しやってみよう」「次の単元も理解できるかも」という前向きな気持ちにつながり、学習の好循環が始まります。


英語立て直しの具体的な手順

手順1:つまずきの起点を10分で特定する

以下のチェックリストを使って、お子さまがどこでつまずいているかを素早く特定してください。各項目について、自信を持って「わかる」と言えるかどうかをお子さまに確認します。

□ be動詞(am / is / are)の使い分けがわかる □ 一般動詞の肯定文・否定文・疑問文が作れる □ 三人称単数現在のsのルールがわかる □ 疑問詞(what / who / when / where / why / how)を使った疑問文が作れる □ 現在進行形(be動詞 + 〜ing)の文が作れる □ 過去形(規則動詞・不規則動詞)の文が作れる □ 未来形(will / be going to)の文が作れる □ 助動詞(can / must / may)の使い方がわかる □ 不定詞(to + 動詞の原形)の3用法がわかる □ 動名詞(〜ing)と不定詞の使い分けがわかる

上から順にチェックしていき、「あやしい」と感じた項目が、戻るべき起点です。

手順2:起点から順に「ルール確認→練習問題5問」を繰り返す

つまずきの起点が特定できたら、そこから順番に以下のサイクルを回します。

① 文法参考書で該当のルールを確認する(5分) ② 練習問題を5問解く(10分) ③ 丸つけをして、間違えた問題は解説を読んで再挑戦する(5分)

1テーマ20分です。1日に1〜2テーマ進められるので、中1の全範囲でも1〜2週間あれば終わります。

手順3:基礎が回復したら教科書本文の音読に切り替える

基礎文法の復習が完了したら、学校の教科書の本文を使ったトレーニングに移行します。

まず、今の授業で扱っているレッスンの本文を読んでみてください。基礎文法が回復した状態であれば、以前は「何が書いてあるかわからなかった」本文が「なんとなく読める」状態に変わっているはずです。

この「読める」体験を大切にしてください。そこから、音読を毎日5分続けることで、読解力と文法力を同時に強化していきます。

手順4:「今の授業に追いつく」フェーズに入る

基礎が回復し、教科書の本文がある程度読めるようになったら、「今の授業についていく」ための学習に切り替えます。

授業前に新出単語に目を通しておく。授業後に文法の要点を参考書で確認する。宿題を翌日に解き直す。この3つのルーティンを続けるだけで、「授業についていける」状態を維持できます。


保護者の方へ:「戻ること」を応援してください

お子さまが「中1に戻ってやり直す」と決めたとき、それを恥ずかしいことだと思わせないでください。

「戻る勇気がある子は強い」「遠回りに見えるけど、これが一番の近道だよ」——こうした言葉をかけてあげてください。

そして、戻って学び直している間は、「まだそんなところやってるの」とは絶対に言わないでください。基礎の復習が完了するまでの数週間を、静かに見守ることが、保護者にできる最大のサポートです。


まとめ:「戻る」は恥ではない。最も賢い戦略である

英語についていけなくなったとき、最初にやるべきことは「今の授業を必死に追いかける」ことではなく、「つまずきの起点に戻って基礎を固め直す」ことです。

基礎の復習は、思っているよりずっと短期間で終わります。そして、基礎が回復した瞬間から、英語の理解は加速度的に進みます。

武蔵野予備校FLEXでは、東大生講師がお子さまのつまずきの起点を正確に特定し、基礎の復習から現在の授業に追いつくまでのロードマップを設計します。「中1のbe動詞から」のスタートでも、恥ずかしがる必要はまったくありません。そこから始めたほうが、結果的に早く成績が上がることを、私たちは何度も目にしてきました。

「英語がもう手遅れかも」と感じている方こそ、まずは基礎に戻ることから始めてみてください。


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